「痛風かも」と思ったら、できるだけ早めに病院に行くことをおすすめします。初めて痛風を疑った場合、何科の病院がよいか迷うものです。痛風の診療科としてはリウマチ科や膠原病内科が挙げられますが、痛風の専門外来のある病院もあります。最寄に痛風を扱う専門病院がなければ、内科を受診します。突然の激しい痛みがある場合は、整形外科で痛みの緩和をすることもできますが、痛風の治療は急性関節炎が治まった後の尿酸のコントロールが重要で、生活習慣の指導などを含め改めて内科や痛風の専門科を受診することが妥当のようです。また、痛風で併発する尿路結石で泌尿器科を受診することもあると考えられますが、痛風ならば最寄の内科をはじめ、リウマチ科や膠原病内科や専門外来といった痛風を専門に扱う診療科が適当と考えられます。痛風発作の激しい痛みで動けないということもあるでしょう。痛みがおさまったらできるだけ早く病院で診察を受けましょう。痛風と思っていても、別の病気の可能性もあります。病院で検査を受けて病気を確定する必要があります。自己判断は慎むのが賢明です。病院で痛風と診断されたら根気強く治療を続けることになります。
痛風の病院・診療科
痛風の治療ガイドライン
高尿酸血症・痛風の治療は、ガイドラインが示す標準治療に基づいて行われるようになっています。日本痛風・核酸代謝学会によって発行された高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインの第2版(2010年)では、高尿酸血症・痛風を生活習慣病と位置づけて、治療ガイドライン全体をとおして生活習慣の改善が重要としているのが特徴的です。薬物治療の有無に関係なく生活指導の重要性が強調されており、「高尿酸血症・痛風の生活指導」の章で、食事療法・飲酒制限・運動の推奨があり、肥満解消によって血清尿酸値の低下が期待できるとされています。痛風の発作が起こった場合は痛風発作(痛風関節炎)の治療がまず行われますが、次に痛風の原因になっている高尿酸血症の改善を目的とした根本治療が行われます。痛風発作(痛風関節炎)は高尿酸血症が続くことで起こるからです。高尿酸血症の適切な治療によって尿酸値をコントロールすることで痛風の再発を防ぎ、高尿酸血症・痛風の合併症である腎障害や尿路結石への進行を抑えます。また、生活習慣病は虚血性心疾患や脳血管障害の発症率を高くする誘因です。同様の発症要因をもつ肥満・高脂血症・高血圧・糖尿病(耐糖能の異常)などの生活習慣病の併発を防ぐ対策も大切です。既に併発している生活習慣病があるならば、それらの病気の治療も必要になります。
痛風の治療方法
主な高尿酸血症・痛風の治療方法としては、食事療法を柱とした生活習慣の改善と薬物療法になります。痛風の発作が起きたら、できるだけ早急に医師の診察を受けて適切な治療を開始することをおすすめします。痛風発作が起きた場合は適切な鎮痛療法が必要です。痛風発作の症状が治まったら痛風の原因である高尿酸血症の治療です。痛風の基礎疾患は高尿酸血症ですから、血清尿酸値を下げる治療が必要になります。尿酸値は7.0mg/dLを超えると痛風発作(痛風関節炎)の危険性が高まります。また、痛風発作(痛風関節炎)が起きにくい尿酸値は4.6~6.6mg/dLの範囲でコントロールされている時であることから、6.0mg/dL以下に尿酸値をコントロールするのが望ましいとされています。ただし、血清尿酸値を急激に下げすぎると痛風発作が誘発されてしますから、徐々に目標値の6.0mg/dLに近づけていくことになります。どの治療方法でも、医師の指導と管理が大切です。血清尿酸値が高いほどに短期間に痛風を発症する可能性が高くなります。血清尿酸値が高いといわれたら、正常範囲の血清尿酸値に維持コントロールすることが、痛風発作や腎障害(痛風腎)の予防になります。
■高尿酸血症・痛風の治療方法:食事療法
食事療法は高尿酸血症の治療の基本で、飲酒を含む食事制限などの生活指導に従った食生活に改めます。
■高尿酸血症・痛風の治療方法:薬物療法
痛風発作(急性痛風性炎症)に対する薬治療と、高尿酸血症に対して尿酸値をコントロールすることを目的とした薬治療に大別されます。
■高尿酸血症・痛風の治療方法:運動療法
生活習慣病の治療としては、食事療法・運動療法・薬物療法が挙げられますが、高尿酸血症・痛風においては、運動が尿酸値を下げるような直接的なエビデンスはありません。ですが、運動による肥満解消は、高尿酸血症・痛風に併発しやすい生活習慣病の改善や予防することになり、間接的に高尿酸血症・痛風に良い影響があると考えられ、運動を行うことが推奨されています。尚、尿酸値を上げる無酸素運動や激しい運動は高尿酸血症・痛風ならば避けなければならない運動です。
痛風の食事療法
高尿酸血症・痛風の治療の柱ともいえる食事療法とは、「プリン体を多く含む食品を控える」「アルコール(飲酒)は控える」「多めに水分補給をする」「アルカリ性食品を積極的に摂取する」「適正カロリーを摂る」「バランスのよい食事にする」「規則正しい生活習慣と食習慣にする」といった食生活の改善を行い、尿酸値をコントロールすることを目的とする治療方法です。痛風は完全に治すのが難しい病気といわれますが、食事療法が痛風を限りなく完治に近づける決め手になります。生活習慣と食習慣を見直すことが、尿酸値改善への第一歩です。適切な食事内容といっても個人差があります。自己判断はせずに、医師の指導に従いましょう。
■高尿酸血症・痛風の食事療法:プリン体を多く含む食品を控える
痛風の治療というとプリン体の制限が主でしたが、食事から摂るプリン体よりも体内合成されるプリン体の方がはるかに多いため、食事によるプリン体の制限は緩和されました。ですが、プリン体を多く含む食べ物の摂りすぎは要注意です。
■高尿酸血症・痛風の食事療法:アルコール(飲酒)は控える
アルコール飲料は尿酸値を高くする作用がありますから、原則禁酒です。少なくとも節酒の心がけが大切です。プリン体を多く含む麦芽ビールは避けたいアルコール飲料です。
■高尿酸血症・痛風の食事療法:多めに水分補給をする
体内の水分が失われると、尿酸値が高くなります。小まめに水分補給をして尿量を増やすことで、尿酸の体外排泄を促がすことができます。果糖が多く含まれるジュースや炭酸飲料は肥満の原因になりますからおすすめできません。摂取カロリーの観点からは、ウーロン茶・麦茶・緑茶などがおすすめです。
■高尿酸血症・痛風の食事療法:アルカリ性食品(野菜・海藻類・牛乳など)を積極的に摂取する
高尿酸血症・痛風で併発しやすい病気に尿路結石(主成分が尿酸)があります。尿が酸性のときに尿酸が結晶化しやすいため、酸性化した尿をアルカリ性にすることで改善できますが、結石は再発しやすいため、生活習慣の見直しと予防が大切です。
■高尿酸血症・痛風の食事療法:適正カロリーを摂る
高尿酸血症・痛風の患者では肥満気味の人が多いです。過食を慎み、腹八分目をよしとしましょう。
痛風の薬物療法
高尿酸血症・痛風の薬物療法としては、痛風発作(急性痛風関節炎)に対する薬治療と、高尿酸血症のコントロールのための薬治療があります。痛風発作(急性痛風関節炎)に対する薬としては、痛風発作の予防や軽減を目的とした薬や、消炎鎮痛剤と一般的に呼ばれる非ステロイド系抗炎症薬があります。痛風発作は急性関節炎ですから抗炎症薬が効果的で、痛風の発作期は痛みと炎症をとる治療が優先され非ステロイド系抗炎症薬が中心になります。痛風発作が起きた場合は適切な鎮痛療法が必要です。痛風発作を起こした場合は、できるだけ早急に医師の診断を受けて適切な鎮痛療法の治療をおすすめします。アスピリン系の薬はかえって症状を悪くしたりしますから、自己判断で痛み止めの薬を服用は要注意です。痛みも炎症も治まった間欠期に血清尿酸値をコントロールする治療が行われます。食事療法などの生活習慣の改善でも尿酸値のコントロールができない場合に、尿酸コントロール薬での薬物療法が検討されます。痛風の発作時に血清尿酸値を変動させると発作が増悪することが多いため、痛風の発作中は尿酸降下薬を開始しないことになっています。尿酸を下げる薬(尿酸コントロール薬)には、尿酸産生阻害剤と尿酸排泄促進剤とがあります。尿酸コントロール薬による薬治療はかなり長期間続けることが必要で、大部分が一生涯続けることになるようです。医師の指示をよく守り薬を服用することが大切です。痛風発作を起こしたことがある人では、尿酸降下薬の飲みはじめに体内に溜まった尿酸が溶け出して痛風発作が起こりやすくなることがあるようです。尿酸降下薬の服用中に痛風発作を起こした場合も、早急に医師の診察を受けることが重要です。
痛風の治療薬
痛風発作の激痛の原因は急性関節炎によるものですから、痛風の発作が起こったときの治療は、消炎鎮痛薬とよばれる抗炎症薬や鎮痛作用のある薬を使用して、炎症を抑えて痛みを軽減する治療が優先されます。発作時の痛風の治療薬としてはインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が主に使われます。痛風発作の極期では短期間に比較的大量の薬を使用し、痛みが軽減されてきたら使用量を減らし、痛みが消えたら使用を止める、といった薬治療になります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は腎臓機能が低下していたり胃潰瘍の治療をしている場合には使えません。胃が弱い人には内服薬でなく座薬を処方する場合があります。非ステロイド性抗炎症薬が使えなかったり、効果が見られない場合に副腎皮質ステロイド薬の内服または注射がありますが、重症のケースに限られており一般的な痛風発作には使用されないようです。コルヒチンは痛風発作を未然に防いだり軽減することを目的とした痛風の治療薬としては特効薬といえます。ただ、痛風発作を抑えるには、痛風の前兆期や痛風発作のごく初期にコルヒチンを服用する必要があり、激痛になってからではあまり効果がないようです。多量に飲むと出現すると吐き気や腹痛・下痢などの胃腸障害の副作用や、激しい痛みがでた後に医師の診察を受けることが多いこともかさなって、コルヒチンが処方される頻度は減少し、最近では非ステロイド抗炎症剤が中心になっています。いずれの薬治療においても、服用量・服用回数など医師の注意や指示を良く守ることが大切です。痛みを我慢できないからと薬を飲みすぎると副作用が心配されます。
※痛風の発作時に血清尿酸値を下げ過ぎるとす発作が増悪することが多いことから、発作中に尿酸降下薬は用いられません。
高尿酸血症の治療薬
痛風発作の痛みや炎症が治まっている時こそ、尿酸値をコントロールする時期です。痛風発作が治まったら、医師に相談して尿酸値を下げる尿酸降下薬による治療が必要かどうか判断してもらいましょう。飲酒の制限や食事療法などの生活習慣の改善を行っても尿酸値のコントロールができず8.0~9.0mg/dLを超えている場合には、尿酸降下薬で尿酸値を下げて尿酸値をコントロールする治療が必要と判断されるようです。血清尿酸値を下げて尿酸をコントロールする薬(尿酸降下薬)は痛風発作を誘発しないように最少量の服用から開始されます。尿酸降下薬には、尿酸産生阻害剤と尿酸排泄促進剤とがあります。尿酸産生阻害剤は尿酸産生過剰型の高尿酸血症・痛風の患者に、尿酸排泄促進剤は尿酸排泄低下型の高尿酸血症・痛風の患者に用いられます。産生過剰型か排泄低下型、また混合型かの鑑別は尿中尿酸排泄量によります。尿酸産生阻害剤としてはアロプリノールという化学名を持つ薬(商品名:ザイロリックやアロシトールなど)が、尿酸排泄促進剤としてはベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)やプロベネシド(商品名:ベネシッドやプロベネミドなど)などの薬が代表的です。尿酸排泄促進剤は、腎臓から多くの尿酸を出すことを促がす薬で、尿が酸性の時は尿路で結石ができやすいため、十分な水分補給で尿量を増加させることが重要で、尿をアルカリ性に保つために尿アルカリ化剤(ウラリットなどのクエン酸製剤)を併用することが多くなります。これらの薬は尿酸値を下げる薬ではありませんが、尿路結石を予防したり腎障害の改善に役立つ薬です。定期的な検査で尿酸値をチェックして尿酸を継続的にコントロールすることが重要で、適切な薬の服用が痛風発作や合併症の予防になります。
無症候性高尿酸血症治療
無症候性高尿酸血症とは、血清尿酸値が継続的に7.0mg/dLを超えた状態であっても痛風発作(急性痛風性関節炎)の症状が現われていない状態です。無症候性高尿酸血症の治療において薬治療をするかどうかについては、画一的に尿酸降下薬などによる薬物治療は避けるべきとされています。無症候性高尿酸血症の治療では、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えたら生活習慣を見直して食事療法などの生活指導、8.0mg/dLを超えている血清尿酸値に加えて高血圧・糖尿病・高脂血症などの合併症がある場合は尿酸降下薬などの薬物治療で尿酸値をコントロール、血清尿酸値が9.0mg/dLを超えていると痛風発作(急性痛風性関節炎)の発症率が急激に増加するために尿酸降下薬などの薬物治療で尿酸値をコントロールする必要があるとされています。無症候性高尿酸血症の状態では腎障害が進まないといわれていますが、高血圧を合併しているケースでは腎障害が進行することが分かっています。また、無症候性高尿酸血症で虚血性心疾患のリスクが高まることは疫学的に認められています。痛風発作(急性痛風性関節炎)がなくともな未治療でいれば、尿酸値が高ければ高いほどに将来痛風発作(急性痛風関節炎)や尿酸結石を発症する危険性が高くなります。痛風発作(急性痛風性関節炎)を経験していなくとも、尿酸値が7.0mg/dL以上なら、自発的に医師の定期的な診察を受けて尿酸値が更に高くなってないかを検査してもらったり、適切な治療を始めることが必要と認識しましょう。
痛風の漢方薬
痛風の治療に用いられる漢方薬は、体質や症状によって変わります。漢方医学に精通した医師や薬剤師に相談することをおすすめします。合わない漢方薬はかえって病状を悪化させたりします。漢方治療においても、痛風の治療では食養生が第一とされています。痛風は食事や飲酒が深く関係していることから、西洋医学でも東洋医学でも、食生活の改善が重要と考えられています。痛風に多用されている漢方薬には、越婢加朮湯、桂枝加朮附湯、疎経活血湯、大柴胡湯、防風通聖散、竜胆瀉肝湯などが挙げられますが、漢方薬を用いる場合は自己判断は避けて、専門家に相談することが肝要です。健康保険が適用の場合と自費になる場合がありますから、この点も併せて自分にあった病院選び・漢方薬選びをしてください。西洋医学的な薬治療を受けていて、漢方薬を使いたい、あるいは漢方薬に切り替えたいといった場合は、その旨をはっきりと医師に伝えることをおすすめします。
